「いつから大人になるの。いつまで子供でいいの。
どこから走ってきて、ねぇ、どこまで走るの。
居場所がなかった。見つからなかった。
未来には期待出来るのか分からずに」
歩道橋から見下ろした世界が好きだった。それは私の居ない世界だから。皆が動き生きるのをただ眺める。そこに自分の居場所はないし、生きなくても良かった。ただの傍観者。そんな世界に憧れていた。それは自分が無関係でいられる、ということだから。そして実際、世界は私を置き去りに進んでいるように思えていた。
「いつも強い子だねって言われ続けてた。
泣かないで偉いねって褒められたりしていたよ。
そんな言葉ひとつも望んでなかった」
私は優等生だった。別に頭が良いとか、特別な能力があったわけじゃない。人様に迷惑をかけない、手間の掛からない子だったということ。学校は子どもをそう作る。それが良いと言われるから、素直にそう育った。良いと言われる道を歩んできたのに、どうして今更私の個性ある道を歩めと言われるんだろう。道の選び方なんて学んでこなかった。
もっと早く捨てるべきだったのかな。反抗してみるべきだったのかな。本当は分かってる。それは捨てるべきものも、反抗すべき相手も分かっていたのに、目を瞑ってきたってこと。ここまで来て、この現状を肯定し受け入れることは時々とても息苦しいけれど、あの時自ら道を選ぶという責任を負う代わりに享受した幸せはどれだけだったか。
今からでも遅くない。そう思いたい。
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